ハワイロングスティNo.4 小川鑛一

ハワイ・ロングスティの思い出 No.4

埼玉県 小川鑛一/真喜子

ハワイで仲間づくり【友人ができ教養が身につくホノルル「木曜午餐会」の思い出】

年齢とともに冬の寒さが身に堪えるようになった。寒い12月から1月にかけ、常夏の国ハワイでロングステイを1ヶ月〜1ヶ月半行うようになり7年が過ぎた。その7年間は冬の時期が短く、春はすぐにやってくる感じがし、身体的にとても楽になることを実感できた。ハワイロングステイ初期のころは、ノース・ショア、真珠湾、ダイヤモンドヘッドなどと観光地を訪れるツアでオアフ島内の旅をした。現地で知人ができてからは、その知人が島内ドライブに誘ってくれることも多くなった。それに、ハワイ滞在中は、依頼を受けた原稿の推敲と査読作業を行うことが多く、忙しくも楽しい時間を毎日過ごすことができた。

図1 高知城をモデルにした教会      図2 会場全面に演題と講師名が見える
ロングステイクラブ・ホームページに投稿した、ハワイ・ロングステイの思い出No. 2、No. 3で述べたように毎年訪れると知人が増えてくる。その知人たちからいろいろな情報をいただくことがあり、その一つに「木曜午餐会」があった。参加した当初はこの「木曜午餐会」は、食事をしながら談話を楽しむ会なのかと思っていた。「木曜午餐会」が発足した103年前はそうであったようだが、今では木曜日の昼12時から1時間の講演会を行う会であることもわかった。木曜午餐会は100年以上もの長い間途切れることなく続いているというホノルルの名物講演会である。

私たち夫婦は、この「木曜午餐会」の講演を聴きに毎週熱心に参加するので、会の幹事さんの目に止まり、名刺を交換した。その名刺で私の身分がわかり、2016年と2017年の12月に講演を依頼されることになった。

図1〜図4は、2016年12月に行った講演のときに撮影した写真である。このときの演題は「人生のために役立つ人間工学」であった。

図1は、「木曜午餐会」の会場マキキ聖城キリスト教会である。この教会は、高知城をモデルにして作られ目立つ存在なので、初めて会場を訪れてもアラモアナショッピングセンターから歩いて15分ほどで間違いなく行ける。

図3 熱演中の演者              図4 熱心に聴講する参加者
図2は講演会場前方を示す写真で演題と演者名、次回の演題と演者名がよく見えるように掲示してある。この時に話した内容は、人間に工学という文字がつく「人間工学」の概要を椅子の座り心地、見えやすくて疲れないテレビやパソコン画面の配置、車のブレーキ・アクセルの設置など、人間とモノとの境目を考えることによって使いやすさや安全性が改善されることを説明した。

図4に見るように、ハワイ在住の皆さんは非常に若々しく見える。聞くところによると正確ではないが平均年齢は80歳くらいとのこと。私の知るロングステイクラブ関東支部会員の平均年齢も80歳に近い年齢であると推察する。ホノルルの「木曜午餐会」会員の皆さんもロングステイクラブの皆さんも、実年齢より10歳は若く見える。見かけだけではなく姿勢や身のこなし方を見ても、10歳若く見える人が多い。ホノルル「木曜午餐会」の皆さんは、車で会場を訪れる方が多く見受けられることからも、実年齢よりも若く見えることは理解できる。

図5 講演者を紹介する木曜午餐会会長  図6 女性幹事さんから首にレイをかけて頂き記念撮影

図5〜図8は2017年12月に行ったときの講演写真である。このときの演題は「重力があるから人は腰痛を起こす “腰に大きな力がかかる話”」であった。重力は空気同様に眼に見えない。毎日当たり前のように身を動かし、その都度足には大きな力を受けている。地上を歩いて体重の1.5倍、階段を登って2倍、階段を降りて3倍の力が足にはかかる。質量10kgのお米の袋を手に持てば、手には10kgf(98N、ニュウトン)という力がかかる。ところが、頭、両手を含めた身体の腰から上の上体の重さは、体重50kgの人なら約33kgfである。この33kgfという重い荷重が腰に常にかかっている。お辞儀をするような前傾姿勢をとると、腰には体重の約4倍、つまり50kgfの人なら200kgfという重さが腰にかかる。この事実は、言葉で説明してもわかってもらえないと思い、手作り模型を使い理解してもらうため、その模型をハワイに持ってきて説明した。図7、図8は、その模型を使い腰部に大きな力がかかる様子を解説している場面である。

図7 講演2年目人モデルを用い解説     図8 前傾姿勢で腰部にかかる力の解説

図9の写真は、聴講している皆さんの様子である。聴講者の人数は毎回変わるが、50人〜60人が聴講している。図8は、丁度100年目の記念すべき年に講演をさせて頂いたようで、「ハワイ木曜午餐会100周年記念の歌」のCDをプレゼントして頂いたので、嬉しい限りである。

100年間毎週木曜午餐会が開催したとして、いくつの講演がなされたかを計算してみた。戦時中で講演中止ということもあったし、講師の都合による中止、悪天候、あるいは今回のコロナ渦で中止になったこともあったかと思う。単純に月に4回開催すると、年にはその12倍の48回の講演がある。さらに、100年というと48回の100倍であるから4,800回の講演が行われたことになる。膨大な数の講師を依頼し、その数の講演を行ったことがわかる。ものすごい数の演題が「木曜午餐会」で話され、聴講した多くの皆さんの教養を豊かにしたといえる。

2019年〜2020年にかけて行われたいくつかの講演の演題を「木曜午餐会」ホームページで調べたところ、以下のような多彩な分野の話をされたことがわかった。

「ハワイ経済の現状」「江戸から明治維新にかけての日本人の言葉と心」「気仙沼から希望のともし火を」「民俗学って、なーに?」「日本とアメリカのお米は?」「誰でもできる俳句入門」「外国語どのくらい話せる? めやすと活用法。」「京都の老舗の教え」「嘘と悪口」「家でもできるフィジカルセラピー」「80歳代からのスマホ」「固定資産税、払い過ぎていませんか?」「心臓への不安を解消しましょう」「再び「終戦の勅諭」を読む」「短歌でたどる平成の時代」「新東日本津波原発事故の福島からの報告」「老舗の家訓」「航空チケットの賢い買い方」「三味線、長唄、お囃子」「さくらのミステリー」「唄います!日本の歌を」「次の世代に伝えたいハワイの宝物」「新しい健康のパラダイム」「自分で出来る健康法~正しい歩き方」「古事記の世界観」「オペラの魅力第3弾」、2016年と2017年の筆者の演題は「生きるために役立つ人間工学」「腰に大きな力がかかる話」である。講演は、大学教授、医者、会社社長、研究員、牧師、住職、作家、クラブの会長、同好会代表、舞踊師など分野が異なる多彩な講師が行っている。

上記のどのテーマを選んでも面白そうでためになるので、「木曜午餐会」には、ぜひ多くの方々が参加されると良いと常々思っている。ホノルルに滞在していれば、毎週通いたいところだが、日本にいる今はそれが叶えず残念である。

図9の聴講者の皆さんは、ハワイ在住が長い女性が多い。座る場所にもよるが初対面にも関わらず気楽に声をかけていただけるので、気が合うならすぐにハワイのお友達ができる。

インターネットの検索で「木曜午餐会」ホームページを開くと「木曜午餐会」の説明がまず目に入る。その冒頭に以下の記事が載っている。

「木曜午餐会は、在ホノルル日本総領事館の第9代諸井六郎総領事の発案により1918年(大正7年)に創立されました。日米対戦中も細々ではありながら「一生青春、一生勉強」という思いの火をひと時たりとも消すことなく今日まで続いてきました。先人の努力には只々感謝するばかりです」

私たちは、2018年の正月はホノルルに滞在していたので、この年は丁度「木曜午餐会」の100周年記念の年であった。この年の1ヶ月前、2017年12月に「腰に大きな力がかかる話」という演題で講演させて頂いたので、忘れることができない良い思い出ができた。そして、「木曜午餐会」100周年記念の歌の記念CDを頂戴できた。図10は、頂いた「木曜午餐会」100周年記念の歌CDである。

図9 熱心に聴講する受講者の皆さん      図10「木曜午餐会」100周年記念の歌CD

上記した講演が終わり後片付けを済ますと、新名 瑛会長から幹事の皆さんと昼食のお誘いを受けた。車でスーパーマーケット内のレストランへ出かける。食事が済むと滞在しているイリカイホテルまで送っていただけ、大変助かった。 「木曜午餐会」の講演を聴きに行くと、席の隣、近所の参加者が声をかけてくれることは前述した。この「木曜午餐会」で知り合った地元の方が車でホノルル市内を案内していただいたこともある。また、自宅まで案内されご主人に紹介までしていただき、その上コーヒーを一緒に楽しんだこともあった。ハワイの皆さんはとても親切でフレンドリーである。ホノルルに行ったら、今回紹介した「木曜午餐会」のような集まりに積極的に参加し、普段聴けない貴重な講演を聴き、ハワイ在住の方々と友達になるとよいと思う。

「木曜午餐会」が終わり、その週末の日曜日に木曜午餐会の新名 瑛会長は、自宅を開放しそこを新名亭と呼び、Potluck Partyを開き招待いただいた。図11は、その時の豪華な手料理の数々である。図12は、そのPotluck Partyの参加者である。私たちのような新参者を招待していただき、このような立派なパーテイを開いていただけるとは思いもよらなかった。また、次にハワイにきたら、何らかのお手伝いをしたいという気持ちになる。このようなわけで、2年間は続けて講演をお引き受けした。しかし、2019年になると新型コロナウイルス感染者は増加し、動きが取れなくなり、国内はもちろん、海外へは行けなくなった。そのコロナ渦は2020年も続き、そのまま2021年東京オリンピックの年を迎えた。3月桜のシーズンも終わるころ、オリンピックの聖火ランナーが福島を出発し、国内を巡回し始めた。その一方、コロナ渦の第4波は、成長し始める気配を示しているのが現状である。コロナ渦が収まり、東京オリンピックが無事に開催されることを誰もが望んでいるが、未だにその行方はいまのところ未知数である。

図11 Potluck Partyの美味しい食べ物    図12 新名亭のPotluck Party参加者

「木曜午餐会」の会長新名 瑛さんには、木曜午餐会に参加したことが機縁で、ここに述べた木曜午餐会の貴重な講演を聴くことができ、また話す機会を与えていただいた。さらに図11、図12に見るような新名亭のPotluck Partyという名の楽しい宴会にも招待頂いただいた。この宴会を通して、さらに分野の異なる方々との面識ができた。「木曜午餐会」は、人の輪を広げる役割がある楽しい会だと思っている。ホノルルでロングステイを行っていた間だけだが、毎週「木曜午餐会」に参加し講演を聴講させていただいた。同時に地元の皆さんと会話を交わし、楽しい一時を過ごすことができた。

妻真喜子はキルトが趣味である。ハワイアンキルトを習うためにアラモアナセンター内にあるキルトショップの店長宇田川弘子さんと知り合になった。そのお陰で彼女からホノルルの哲学の道(アラワイ運河沿いの公園、新名「木曜午餐会」会長命名)で開催している気功体操のことを知り毎朝参加した。この体操仲間から「木曜午餐会」が毎週開かれていることを知らされ、新名会長に繋がった。ロングステイクラブ会員との人脈でも感じていたが、未知の世界のハワイでも人脈の大切さを強く実感した。

コロナ渦が収束したら、また、木曜午餐会に参加し、新名 瑛会長および会員の皆さんにお会いできる日を夫婦ともども待ち望んでいる。

最後になりましたが、「木曜午餐会」のことを書く機会を与えて頂いた新名 瑛会長、篠崎春彦様に熱くお礼申し上げます。

参考:「木曜午餐会」開催日時と場所は以下の通りである。

《 開催日時 》

毎週木曜日
午後12時30分〜1時30分
《 会場 》

マキキ聖城キリスト教会

Makiki Christian Church

829 Pensacola St., Honolulu, Hawaii 96814
《参加費》

年会費:$20

非会員 毎回:$2

木曜午餐会のホームページ:http://mokuyogosankai.blogspot.com

 

 

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