回想・カレリア共和国 篠崎春彦


『回想』 カレリア共和国



明治以来ロシア文学は、人生論の教科書的存在として日本人に受け入れられてきた。ドストエフスキーやトルストイの文学はその代表でもあり、ロシア文学に夢中になった人は少なくなかったろう。また音楽やバレエ、絵画などにも親近感を抱いている人たちも多い。
2009年8月ロシアを訪れた。

歴史に名を留める教会を訪ね、規模も内容も超一流な美術館や宮殿を巡ってみて、途方もなく偉大な国であることを実感した。そして、広野と森と河の豊かな大自然に感動した。

その反面、「暗く、不気味で危険な国」「巨大な後進国」といった根強く残っているイメージを拭い去ることはできなかった。ロシアは実にさまざまな顔を持つ謎の多い国である。

モスクワに到着して最初に閉口したのは、パスポートコントロール(入国審査)での行列であった。ソ連末期にモノを求めてとてつもなく長い行列が、あちこちにできていたニュースを思いだした。

ソ連崩壊から20年近く経過したものの、行列をなくそうなどという改善策はほとんど感じられず、お客へのサービス精神というものは重要視されていないようだ。劇場のチケット売り場、スーパーマーケットのレジ、予備校の申し込みですら、長蛇の列という。

こんな一面を見ると「ロシアなど大した国ではない」という見下した感覚が、つい起こってしまう。旧ソ連時代から脱却し、労働生産性を高め、民主主義の質を向上させ、政治犯の解放を果たすまでにはまだまだ課題が多い。

これは11年まえに訪れた印象である。現在のロシアは改善されているであろうか? プーチン大統領と対立している野党指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏を巡る毒殺未遂事件に「KGBに陰」が垣間見える。不気味な様相は変わらないようだ。

それはさておき、今回の旅で好印象の強かったカレリア共和国について触れてみたい。

2021年11月 再編集:独法師

 

 
 

 

 

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