八ヶ岳たきぎ能を鑑賞(観劇同好会)

8月3日、関東支部観劇同好会(幹事:川本さん)の企画による身曾岐神社の奉納たきぎ能鑑賞のイベントに参加してきました。参加者は26名(内関西支部から6名)で大変にぎやかな集まりでした。
 身曾岐神社は八ヶ岳の南山麓に位置し古神道の由緒ある神社として地元では親しまれています。
 奉納たきぎ能は身曾岐神社の例大祭前夜のイベント(神事)として毎年行われてきましたが、コロナのためここ3年間は中止されていましたが、この夏から再開されました。

神社の境内と入場受付
身曾岐神社の本殿
奉納和太鼓の演奏を聴くたくさんの人々

 会場の身曾岐神社はLSCメンバーが泊っているグリーンヒル八ヶ岳から車で約20分、豊かな森に囲まれた閑静な境内にあり、お参りを兼ねて薪能を鑑賞する観客であふれていた。
 能楽殿は三方が緑の木々に囲まれた池の上に建てられていて普通の能舞台とは一味違う独特の雰囲気が感じられる。

池に浮かぶ能楽殿 大きな緋鯉が泳いでいた
開演2時間前の会場
開演筑前の会場(満席)

 1000名が鑑賞できる臨時の観客席は、17時の開演を前に満席となる。能楽奉納に先立ち、身曾岐神社の神職により能舞台・境域・演者・参集者に対し清めの儀式が厳かに執り行われました。
 その後、能楽師の辰巳満次郎氏による能と狂言の由来や独特の所作とセリフ、演目のあらすじなどの解説があり、いよいよ本番。
 最初に狂言師野村萬斎による「磁石」。京に上る田舎者とすっぱ(詐欺師)と宿屋の亭主の掛け合いで観客を笑いに誘い込む。
 俳優の榎本孝明氏の語りで「国栖」(くず)の物語の流れや解説があり、日が落ちて暮れなずむ境内で厳かな「かがり火点火の儀」が神社の神職と巫女によって執り行われた。
 ぱちぱちと燃え上がるかがり火が能舞台と観客席を照らし、一気に幽玄の世界へと変わっていった。

神職と巫女によるかがり火の点火の儀式
夕闇に浮かび上がる能舞台

 かがり火に照らされた能舞台では本番の能「国栖」(くず)が始まり、観客は自然と幽玄の世界に引き込まれていく。壬申の乱で逃れてきた天武天皇と追手から天皇をかくまう漁師夫婦の物語が地謡とともに演じられていく。
 森と池の暗闇の中から浮かび上がる煌びやかな舞台と演者の磨き抜かれた能の所作、そして、それを陰から盛り上げる鼓や和笛の妙なる音色に観客は魅了され時を忘れて酔いしれました。


吉野山の蔵王権現
天女の舞
天武天皇とその家臣たち

 天女の舞が最後を飾り、静かに舞台から控えの間に消えると八ヶ岳の幽玄のひと時は幕を閉じ、現実の世界に引き戻されました。時計を見ると19時45分、あっという間の夢の2時間45分でした。
 夢が覚めれば、現実の世界は厳しい。会場を後にする人ごみをかき分け、ホテルに戻るためのタクシー乗り場に急ぐ。乗り場は長蛇の列・・・ 
 めげずにロングステイクラブの仲間同士で声を掛け合ってタクシーに分乗、ホテルに戻って遅い夕食を摂り、各部屋で飲み会。ワイワイと楽しい時間を過ごしました。

 (追記と余談)なお、ここに掲載された写真の一部は川本さんから提供していただきました。
なお、音楽グループ「ゆず」のメンバー北川悠仁と元アナウンサーの高島彩がここ身曾岐神社で挙式、その縁で毎年この能舞台でファンクラブの人たちを集めライブを開催しているとのこと。

コメント

  1. NORIKO HORIUCHI より:

    幽玄な雰囲気に囲まれて身曾岐神社での薪能鑑賞会は、
    LSCイベントとしても久々の事かと想われますネ❗
    今回は不在だった為に参加出来ませんでしたが、
    以前にも8月3日の神事を兼ねた薪能に数回参加させて頂き、
    お能には縁が無くても、
    森閑とした森の静けさの世界での薪能には魅了されましたが、
    投稿文とお写真を拝見させて頂き
    想い出に浸る事が出来ました❗
    有難う御座いました。